イサベラ・ロヴィーン氏の来日イベント告知

ここ2ヶ月ほどのあいだ帰宅後から夜遅くまで、共同企画者たちと計画を練ってきましたが、企画の概要がだいたい固まってきました。

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『沈黙の海』著者 イサベラ・ロヴィーン(Isabella Lövin)氏の来日イベント
2010年6月27日より7月4日まで日本滞在


来日企画全体の主催者:持続可能なスウェーデン協会


イサベラ・ロヴィーン(Isabella Lövin)
『沈黙の海―最後の食用魚を求めて』著者
EU・欧州議会議員(スウェーデン環境党所属)


「私たちが日頃好んで食べているタラはいつまで食べられるか?」スウェーデン人の女性ジャーナリスト、イサベラ・ロヴィーン氏は、3年がかりの調査の末に2007年夏に出版したドキュメンタリー本『沈黙の海』の中でこう問いかけた。人々が普段目にすることのない海の下で、乱獲のために水産資源が大きく枯渇しているという情報は、スウェーデンの人々の関心を釘付けにし、その年のベストセラーの一つとなった。

スウェーデンでは昔からタラが大衆魚として食べられてきたが、現在の漁獲量は最盛期の2割を下回っている。近海に生息するタラの総量が大きく減少したためである。また、スウェーデンに漂流してくるヨーロッパウナギの数は主に養殖を目的とした乱獲のために過去数十年で激減し、このままでは近い将来絶滅する恐れすらある。

国際海洋探査委員会(ICES)は、ヨーロッパ近海に生息する魚種の8割が乱獲にさらされていると警告を発している。EUは研究者の声を無視した過大な漁獲枠を長年にわたって設定してきたが、2002年に発行した報告書の中で、水産資源の持続可能性を考慮しないずさんな行政が行われてきたことを自ら認めた。世界の海でも、乱獲による水産資源の枯渇が危惧されている。

では、水産業界がすべて悪いのかというとそうではなく、資源の持続可能性を考慮しながら、消費者に安心して食べられる魚を提供している沿岸漁業の漁師たちもいる。一方で、近代的な技術を駆使して、魚の群れを丸ごと獲ってしまうような産業的漁業を行っている沖合・遠洋漁業の漁師たちもいる。彼らのなかには、ヨーロッパで魚が獲れなくなったためにアフリカ沖合いにはるばる出かけてまでも漁を続ける者もいる。そして、沿岸漁民の生活の糧を奪い、途上国での貧困を助長している。また、世界的に漁獲が減るなか養殖が今後の漁業を支えるという見方もあるものの、餌や稚魚を自然界に頼っている場合が多く、養殖に多大な期待をかけることは危険である。これらのことが、本書の中で明らかにされている。

問題は、漁業と水産資源、そして海洋生態系を私たちがいかに管理するか、ということである。著者イサベラ・ロヴィーン氏は著書の中で指摘したEU行政の改革に自ら携わりたいと考え、2009年6月に行われたEUの欧州議会の選挙にスウェーデン環境党から立候補し見事当選を果たした。彼女は現在、欧州議会の漁業委員会の一員として、2012年に正式決定されるEUの漁業政策改革に向けた議論を行っている。

『沈黙の海』の邦訳版2009年11月に日本で発売された。今年10月には名古屋で国連生物多様性条約の締約国会議(COP10)が開催されるが、それに先駆けて「持続可能なスウェーデン協会」は、著者イサベラ・ロヴィーン氏を6月28日から7月4日の間、日本に招待する。この期間中、ロヴィーン氏は日本の水産研究者や水産庁、環境省、NGOなどと情報交換の場を持ち、幅広い様々な意見に触れる予定である。一般市民向けのシンポジウムも企画している。

魚というと、食料源や経済資源と捉えられることはあっても、海の生態系を織りなす重要な構成要素と見なすことは普段あまりない。海洋生態系や水産資源の持続的な管理と、今後も安心して魚を食べ続けたいという目標は、日本もヨーロッパも共通である。その目標に向けて、ではCOP10において海洋環境の重要性をどう訴えていくかを考える場にしたい。


<日本滞在中の主な予定>
6月27日(日) 日本到着
  28日(月) 視察など
  29日(火) 東京大学にて日本の研究者の方々との会合
  30日(水)

7月 1日(木) スウェーデン大使館にて水産庁とのシンポジウム
テーマ「スウェーデン・EU・日本 ― 持続可能な水産行政に向けて」

   2日(金)

   3日(土) 市民向けシンポジウム(東京都内)
テーマ「魚を食べ続けるために ― 持続可能な水産物生産・流通・消費と生物多様性を考える」

   4日(日)日本出発

一般公開となるイベントは7月1日のスウェーデン大使館でのシンポジウムと、7月3日の市民向けシンポジウムです。詳細な案内はもうすぐ完成しますので、ここで紹介します。水産資源の持続可能性や水産行政について関心がある方は、時間を空けておいてくださいね。私も通訳や司会、モデレーターとして、全日程に参加します。

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by silent-ocean | 2010-06-11 23:25

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